下半身不随という現実

休みを挟んで実習2日目、2人目の指導看護師Bさんに付きました。Aさんよりも若いっ!そして同僚とのおしゃべりも長いっ!

この日は患者さん2人を担当。が、1人は痛み止めの種類を変えて午後退院することに。背骨の手術をしたらしいけど、傷口こそ綺麗なものの、20cmに及ぶ傷に黒い糸がピンピン出たまま退院です...もう1人は朝の回診後、脳神経外科へ移動となりました。へぇーこんな手術をした患者さんなんだぁと申し送りで知って、挨拶&お薬後、いなくなってしまうという...

初日は膝や大腿骨と、まあ治る患者さんを担当しましたが、今回脳神経外科へ移動となった患者さんの状態はかなりショックでした。私と同じ年の男性。申し送りでは「スノーモービルによる事故で、スウェーデンで手術。脊椎損傷。胸から下の感覚なし」とありました。実際挨拶をしに部屋へ入ると、とても明るくて、自ら事故による怪我を説明してくれました。

「毎年恒例のヤロ―の旅行でさ。スノーモービルで突っ走てたわけよ。でも途中でコントロールを失って木に激突さ。場所から言ってスウェーデンの病院が近かったからそっちに運ばれ、でもそこはいっぱいと言われ、ノルウェーの病院に運ばれ、そこもだめで、またスウェーデンの違う病院に運ばれて、やっと手術してもらったんだ。(で、手術後、家があるこの街の病院に転院してきたという)」

術後10日、腕は動くけれど、下半身はまるで彼の鍛えられた体の一部ではないように固まったまま。尿道カテーテルもついたまま。Bさんが手際よく体を拭いてあげ、着替えさせる。部屋を出た後、「朝食後、浣腸して排便を促すから」と準備を始める(結局、脳神経外科に移動になったのでしなかった)。レントゲンを撮りに行くときも、もちろんベッドごと移動。パソコン画面に映った背骨にはいくつものボルトが映っていました。担当医がレントゲンをチェックして、移動が決まったわけですが、「脊椎損傷」とあの明るい患者さんが結びつかず、パソコンに入力している担当医に「あの...彼は歩けるようになるんですか?」と訊いてみた。

「いやー無理だよ。脊椎損傷だからね。これから数か月入院してリハビリしても無理かな。」

毎年恒例のヤロ―だけの旅行...たった一瞬コントロールを失ったスノーモービルで、一生車椅子生活なんだ(損傷位置からしたら、車椅子にも長く座れないかもしれない)。仕事、住まい、これからの生活はどうするんだろう?ノルウェーの社会保障制度でうまく暮らしていけるのかなぁ...同じ年だから余計感情移入してしまいました。しかも最近パートナーと別れたばかり。小学生の息子2人がいるという...他人のことながら、さらに勝手に落ち込んでしまいました。

脳神経外科へもベッドで移動。移動中も指導看護師と明るくおしゃべり。(学生の私達2人は荷物持ち)出迎えてくれたのは年配の看護師さん。「あら、いらっしゃい!移動ご苦労様!私、ここの科の看護師よ。そして彼の母親なの!」と!!!!!ええええええええええっっ!?????脳神経外科の看護師さんが母親...なんだかとても皮肉というか...それとも頼もしいというべきか...

離婚したばかり、しかも下半身不随になった息子を持つ看護師の母親...これまた勝手に感情移入して呆然。私が当事者だったら、現実を受け入れられなくてショック状態でいるような気がするけどな。

この日は勝手な感情移入で精神的にグッタリ。ジムに行く予定が家でお昼寝してしまいました。

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